2022年3月24日木曜日

まじめに中国語をやろう

 広東語の学習を始めたのは中学生の頃だった。香港の女の子を好きになったからだ。英語以外で最初に取り組んだ第三外国語かもしれない。当時は日本で広東語の学習書は販売されておらず、書店の洋書コーナーで辛うじて見つけた『TEACH YOURSELF CANTONESE』というイギリスの本を細かく読み進めたものだ。その後、社会人に至るまで広東語の学習は続く。大学の図書館では海外で出版された広東語辞書を見つけ、ほぼすべてをコピーしたが、それは今も拙宅にある。若気の至りとはよく言ったもので、その辞書をベースにして日本で初めての広東語辞書を作ろうなどと息巻いたりもした。

広東語は役に立ったかというと、それなりにおもしろい経験はできた。何より、就職した会社で奇しくも香港担当になった時期があり、毎月のように香港にも出張に行っていたので、片言の広東語の実力を試す機会もあった。偉そうな話だが、滞在中に日本から来た関連会社の幹部たちを、広東語で現地の人とやりとりしながら街案内したりもした。またジャッキーチェンやMrBOOなど香港映画ブームもあったころで、字幕なしでもそれなりに楽しむことができた。

ささやかに嬉しかったのは、中学生の頃に好きになった香港の陳美齢という名前の女の子、つまりはアグネスチャンなのだが、数年経ったときに彼女がやっていたラジオ番組に広東語で手紙を書いたら、番組内で読み上げてくれて、お返事までいただけたことだ。以後何回か、クリスマスカードもいただいた。

世間一般に言う中国語とは北京語をベースにした普通話と呼ばれるもので、現在も日本で中国語というとこれを指す。中国にはこのほかに広東語、上海語、福建語など大きな方言がいくつかあって、みな漢字を使うものの、音声だけ聴くとお互いほぼ外国語のように通じない。広東語学習を始めたころ、日本語で書かれた学習書が無かったので、頼りは外国で出版された資料だった。インターネットもなかった時代、意外と役に立ったのは中国で出版された書籍だ。幸い、当時の自宅近くに中国語書籍を専門に扱う書店があり、足しげく通い、少々高かったが、広東語と名のつくものを買いあさった。

前置きが長くなったが、それら中国語書籍はほぼすべて中国標準語で書かれており、広東語学習を進めていくには中国標準語の知識が必要となる。そのときどきで中国語を調べていただけで、実のところ広東語ほど関心は持てずにいた。それゆえ、以後、長きにわたり、中国標準語の文字を見ても広東語読みになるという中途半端な状態だった。

何とかしようと思い立ち、数年前からNHKのテレビやラジオの講座を利用していたが、いつもただ聞き流すだけで一向に身が入らない。それではいかんということで、ようやく重い腰を上げ、4月からテキストを買ってNHKラジオ講座を聴くことにした。まじめに系統的に学習していこうと思う。




0 件のコメント:

コメントを投稿