2009年4月11日土曜日

電動車いすを作ろう その10 ~速度変更の判定に備えて

昨年10月に某車椅子メーカーに簡易電動車椅子の見積書を作成してもらったのですが、それが手違いで役所に届いておらず、結局、5ヶ月も無為に過ごしてしまった呑気な私でした。そこまでの顛末は過去の日記に書いたとおりです。

しかし、怪我の功名と言うべきか、その5ヶ月は無駄ではなかったのです。
役所の障害福祉課の担当女性職員 Mさんの一言のおかげで、初回の公費申請では時速4.5km仕様のものしか認められなかったものが、6.0km仕様のものに変更できるかもしれないという道が拓けてきました。
とはいえ、その道は容易なものではなく、もう一度、上級庁のセンターに出向いて、「速度変更」の判定を受けることになったのでした。

一時は「また判定か~」とちょっとメゲましたが、もしかして念願の6.0km仕様が手に入るかもしれないという期待でいっぱいになり、さっそく4月某日に判定の予約を入れてもらいました。センターの判定は日時があらかじめ指定されており、その中から自分が希望する日時に予約を入れてもらうという仕組みになっています。3月中旬の段階で早ければ翌週にも判定予約が入ったのですが、例の里帰りなどのスケジュールもあり、少し間延びするものの4月の予約となりました。

予約を入れると、前回同様、役所の職員Mさんから「補装具判定の予約について」という通知が郵送されてきました。
その通知には予約日時や内容、判定場所などが記されているのですが、昨年と同じく、クマさんの可愛いイラスト入りのメモパッドにMさん手書きのメモが添えられていました。
それによると、「時速6kmの電動は、特別な理由が無い限り判定が出ません。判定のときに理由を具体的に説明してください」というようなことが書いてありました。そして、カッコ付きでどのような説明をするべきかなど細かく書かれています。「たとえば、○△通りがどうしたこうした・・・」など。
うむ、可愛らしい文字なんだけど、書かれていることはかなりシビアです。私は、簡単に考えていただけに、これはちょっと気持ちを引き締めて掛からないといけないなと思い始めました。

メモに書かれていた説明は、先に私が役所を訪問したときにMさんに訴えた事柄を踏襲したものでした。
実のところ、電動車椅子の支給決定通知書を待っていた5ヶ月の間、ずっとではありませんが、ときどき簡易電動車椅子をレンタルして、自宅周辺を散策していたのです。役所のMさんには、そのときの経験談を語ったのでした。
「自宅近くの生活圏内にある○△通りや○○通りを渡るとき、4.5km仕様だと、青信号のうちにどうしても渡りきれない」などと、具体的に通りの名前を出して話しました。これは、以前の日記にも書いたように、昨年の判定で6.0km仕様を希望したときにセンターの職員から言われたことが基になっています。つまり、一度4.5kmに乗ってみて、身の回りで不都合が生じ、もっと速い車椅子が必要であるということを証明しなければならないのです。

役所のMさんのメモは、あのときの私の話をもとにアドバイスを書いてくださったものでした。通りの名前も全部入っています。う~む、なかなかデキる職員さんです。
それにしても、「6kmは特別な理由が無い限り判定が出ない」という一文は私を十分ビビらせてくれました。
私は、ここまで親身になってくださっているMさんのためにも(?)、絶対にクリアしてやろうと妙な闘志を燃やし始めたのでした。


里帰りの準備にあわただしい中、私は、○△通りと○○通りに出向き、メボシを付けておいた交差点をいくつか調べて回りました。
いずれも最寄の駅に通じるところだったり、商店街に出る途上だったり、大手スーパーの近くだったりする場所です。それら交差点を実際に渡ったり、信号の時間を計ったり、人や車の動きを観察したり、道路の段差や起伏を調べたりしました。もちろん交差点の名前もチェックです。

そうして、自宅に帰るや、レポートを作成しました。
判定で説明するにはあまり量が多すぎてもいけないと考え、最も通行に支障がありそうな交差点を3つピックアップしました。そして、それぞれに「通りと交差点名称」、「道路状況」や「通行時の様子」、「車や人の動き」、「危険に感じる状況」などを簡潔にまとめました。「道路状況」では、道路の車線数や道幅、信号の点灯・点滅時間なども盛り込みました。
幸か不幸か、ピックアップした通りはいずれも有名な大通りで、さらに交差点のうち、一つは変則な4差路、もう一つは5差路という、危険度ばっちりな(?)環境でした。それを文章にまとめると、抑えたつもりでも、電動車椅子で渡るにはいかに過酷な試練であるかという気持ちが滲み出てくるようです。我ながら優れたレポートであると悦に入りながら、月末の里帰りに旅立ったのでした。

さて、里帰り旅行から戻ると早々に判定の日を迎えました。
判定日の一件については次の日記に続きます。

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