ロシアでは毎年大晦日に放送される恒例の映画があるらしい。
”Ирония судьбы, или С легким паром”(「運命の皮肉、あるいはいい湯を」)というタイトルのラブコメディ映画で、ソ連時代の1976年制作の古いものだが、繰り返して放送されているという。
画像:YouTubeよりオープニングタイトル
酔っぱらった男性が、女性のアパートの部屋に入り込んでしまうところから始まるのだが、ソ連時代は都市建設や生活様式が同じ規格に従って進められていたため、建物の様子も住所地番もどの町に行っても似たり寄ったりだったらしい。そんなソビエト社会の特殊事情を皮肉った話でもあるわけだ。
今の世は便利だと思うのは、こんな古い異国の映画もネット動画サイトで観られることだ。探してみると、映画会社の公式チャンネルが全編アップしていた。長いので前編と後編に分かれているが、英語の字幕も付けられるのでロシア語が分からなくても楽しめる。
別の楽しみとして、女性(ナージャ)がギターの弾き語りをする場面があるが、これはロシア国民的女性歌手Алла Пугачева(アーラ・プガチョワ)の歌声を当てているらしい。
大晦日の忙しいときに映画なんてと思うかもしれないが、ロシアでは有名過ぎてみなストーリーを熟知しており、テレビ放送を横目で見ながら、「この場面なら今何時ごろ」などと時計代わりになっていたりもするらしい。そして、お気に入りのシーンになると手を留めて画面に見入るという。日本で言えば紅白歌合戦のようなものだろうか、推しの歌手が出たときだけテレビに釘付けになるわけである。
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