2008年10月27日月曜日

【きもの文化検定】 2級問題レビュー(前編)

=【きもの文化検定】2級試験問題レビュー(前編)=

2008年度【きもの文化検定】試験の解答速報が公式サイトに掲載されました。
掲載されたのは解答だけなので、思い切って試験レビューを書いてみることにしました。
問題全部をそのまま掲載できれば良いのですが、著作権の関係からアウトラインだけを記すことにします。

受験された方はもちろん、来年2級を狙いたい方、あるいは単純に興味のある方のお役に立てれば幸いです。

では、まずは前半の語群選択問題から~。

2級 試験問題 
(試験時間:90分 / 設問数 計30、 解答欄 計100)


<語群選択問題>・・・語群の中から適当な言葉を選び、文章を完成させる問題。
設問数:16、 解答欄:55


問1 (着物の種類と格)・・・語群数:9、解答欄:4
*結婚式に列席する場合の男性の第一礼装について、着用する着物の種類と紋に関する設問。
5-4級レベルの基本問題がなぜ2級に?
男性は黒紋付に「羽織」+「袴」で、着物と羽織には染め抜き「日向紋」を「5つ」入れるってことぐらい、普通の人でも何となく知ってますよね。



問2 (色無地)・・・語群数:6、解答欄:3
*色無地の着物についての特徴や紋の入れ方、帯合わせについての設問。
色無地の着物は「一色染め」。
「紋」を入れると略礼装にもなるし、グレーや紫などの色無地だったら「黒共帯」を合わせれば半喪にも使えるなんて、普通に和服をお召しの方なら常識レベル。



問3 (ゆかた)・・・語群数:8、解答欄:4
*ゆかたに合わせる帯の種類および帯結びの種類についての設問。
女性の浴衣には「半幅帯」で、文庫結びが基本。
男性は「角帯」で、帯結びは「貝の口」とか。
「兵児帯」は男女および子供にも。



問4 (通過儀礼)・・・語群数:6、解答欄:3
*七五三の、それぞれの歴史的起源を問う設問。
3歳のお祝いの原型は「髪置きの儀」なんですが、問題文に「髪を伸ばし始める儀式から」と書いてある。語群の中に「髪」という字が入っているのは「髪置き」しかない。
さらに7歳の儀式は「帯解きの儀」で、問題文には「初めて帯を締める」とあり、語群で「帯」に関わっているものは「帯解き」しかない。
こんな設問で間違えようがありますか?


問5 (琉球絣)・・・語群数:9、解答欄:3
*琉球絣についての土地や工程に関する設問。
琉球絣が織られているのは、嘉手納町か、読谷村か、南風原町か? 
知らないとちょっと迷いますかね。
あと、琉球絣の特徴である「糊付け」と「手結」を押さえておけば、この問題はバッチリなのですが。



問6 (繊維素材)・・・語群数:8、解答欄:3
*絹織物、麻織物、ウールなどの長所・短所についての設問。
絹織物は「摩擦」で毛羽立つ。麻や綿は「植物」繊維。ウールは「保温性」抜群。これ以外に選びようがないですね。
着物の検定というより、日常生活の常識問題と言えます。



問7 (紋)・・・語群数:8、解答欄:2
*着物に入れる家紋の種類と、石持ちに関する設問。
紋の種類に染め抜き紋と縫い紋の2種類あることが分かればOK。
紋を入れるために予め丸く場所を染め抜いたところを「石持ち」という、ってのは過去の5-4級問題にも出ていたような気がします。



問8 (振袖の歴史)・・・語群数:9、解答欄:4
*振袖と留袖の歴史的な起源に関する設問。
問題の文章が単純すぎて一瞬「?」となりました。
江戸時代の振袖の形態と、結婚したら袖を切って留袖にするという習慣が説明できればOK。



問9 (慣用句)・・・語群数:9、解答欄:4
*「袖」という言葉を使った慣用句の意味を問う国語的な設問。
「袖の下」、「袖を絞る」、「袖を引く」、「袖を連ねる」って言葉の意味、大人だったら知ってます。



問10 (帯とコート)・・・語群数:5、解答欄:2
*お花見に出かける際に泥大島に合わせる帯の種類とコートに関する設問。
最大の愚問その1。
4月初旬にお花見に行くのに泥大島の袷を着て行ったそうですが、「紗袋帯」、「丸帯」、「なごや帯」のどれを合わせますか?
また、夕方寒くなるといけないので薄物の何かを羽織ったそうですが、「コート」と「雨コート」のどっちを着ていきますか?
問題文をよく読んで、語群を分ければ、実質2択です。



問11 (虫干し)・・・語群数:4、解答欄:2
*虫干しの注意事項と、夏の虫干しの名称を問う設問。
愚問その2。
虫干しするとき、「日の当たる」場所か、「当たらない」場所かどちらが良いか。
そして、夏の虫干しは、「土用干し」と呼ぶか、「旧盆干し」と呼ぶか?
これも実質2択で、3級よりも遥かに簡単。
でも、「土用干し」っていうのは私の日記でやってた対策講座に載せたので何気に嬉しい。



問12 (皇族の婚礼衣裳)・・・語群数:9、解答欄:5
*皇太子徳仁親王と雅子様の結婚の儀の際に、お二人がお召しだった衣裳についての設問。
今回の2級試験で唯一「骨」のある問題だったかと思われます。
問題文の書き出しがいきなり「平成5年6月9日に宮中三殿の賢所で皇太子徳仁親王と小和田雅子様の結婚の儀が~」とあって、メチャ怯みました。
昨日の日記にも書きましたが、公式教本には載っていない内容です。
100点満点を取らせないための1問だったのでしょうか。

皇太子様は「黄丹の袍」の束帯で、雅子様はおすべらかしに十二単だったんですね。
皇太子様の御紋は「窠に鴛鴦」だということは、切手ファンならご成婚記念切手で分かったかもしれません。
しかし、ここの文章の日本語がガタガタだったので、その後の雅子様の部分のつながりが良く分からないです。
私は、そのため雅子様の御紋まで問われているとは知らず、「白の窠に梔子」と入れられませんでした。
ご成婚記念切手には「窠に鴛鴦/クチナシ」がセットだったんですけどね。
雅子様の唐衣が「二陪織物」のもので、さらに既婚女性の長袴の色が「緋」だったというのは、「二陪織物」(=二重織物)が平安装束に多く見られる織物であり、また十二単に着用する袴が紅色だったというあたりからなんとかひねり出せれば、この設問はヨシとしましょう。



問13 (文様)・・・語群数:9、解答欄:4
*公式教本1に掲載の文様写真4枚につき、その名称を問う設問。
これは暗記しておかなければ、キツかった人もいるかもしれません。
でも、着物ファンでしたら、「市松」と「紗綾形」ぐらいは分かるでしょうか。
「鱗」と「松皮菱」が微妙ですね。



問14 (文様)・・・語群数:9、解答欄:4
*提示された文様名称に対して、公式教本1に掲載の文様写真から該当するものを選ぶ設問。
これも暗記していなければ苦しいかもしれませんが、語群(選択肢)に並んでいる文様の写真には何のひねりもないので、よく見て勘を働かせれば正解も可能かと思います。
ちょっと写真が小さくてちょっと見難いのですが、「几帳」が何か知っていれば探せますし、「雪輪」や「源氏香」というのも着物ファンならOKでしょうか。
あとは「鮫」か「行儀」かで迷うかもしれません。
私としては、「行儀」か「通し」での選択だったら冷や汗ものだったかもしれません。



問15 (八掛の裁断図)・・・語群数:4、解答欄:4
*提示された部分布地名称に対して、広げられた反物の図のどの部分を使用するかを問う設問。
着物の反物の裁ち方についての問題ですが、これは絶対に出ると思っていました。
でも、用語を書かせると考えていたのですが、ちょっと安直な出題となりました。
「裏衽」、「袖口布」、「衿先布」、「裾」の4つのパーツに対して、八掛の裁断図にマーキングされたそれぞれのパーツ番号から選ぶという形式です。



問16 (素材と着用時期)・・・語群数:9、解答欄:4
*夏の着物と帯の素材による分類とそれぞれに相応しい着用時期を選ぶ設問。
すっかり油断してて、ノーマークだった項目でした。
公式教本1のP96に載っている「夏の素材の着用時期」の表の一部がそのまま出ました。
着物が3種、帯が1種で、表中の素材名称の空欄に語群から選んで埋めるという形式です。
「紗合わせ」、「絽縮緬」、「麻」、「絽の帯」が埋められれば正解です。
何とか抜け落ちた知恵を絞ろうとしたのですが、残念ながら一つもかすりもしませんでした。
お恥ずかしい限りです。

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以上、語群選択問題を見ていただきましたが、解答欄に対して、語群数が少なすぎると思いませんか? しかも語群に出ている言葉にはほとんどひねりがない候補ばかり。
3級試験問題のほうが遣り甲斐があったような気がするのは私だけ?


このあと試験問題は後半の記述式に続きます。
それはまた後ほど!

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