2009年6月14日日曜日

電動車いすを作ろう その17 ~メーカー担当者の来訪-2

簡易型電動車椅子を作ることにした私は、思い立ったときから約10ヶ月を経てようやく業者さんとオーダーに向けての具体的な話ができる段階にこぎつけました。

ニッシン(日進医療器株式会社)の営業担当Sさんは、第一候補の「iS 電動オプショナル仕様」のデモ車を携えて来訪してくれました。

前回の日記で、そのモデルの細部についてのインプレッションを紹介しておりますが、今回はその続きです。

<後輪(駆動輪)>
ヤマハの電動ユニットは後輪の車軸に電動ドライブが取り付けられており、後輪を直接駆動させる方式です。
デモ車の後輪には24インチの一般的なエアー式タイヤが装着されていました。

私は車載することを考えて、少しでも小型軽量のほうがよいと22インチを希望していたのですが、一見しただけでは22インチとの差は分かりませんでした。
私がいま所有している自走式の車椅子は22インチなのですが、22インチ車椅子ユーザーの私が乗っても、違いはあまり実感できません。私の自家用車の荷台に格納できるかどうかという検分もしましたが、サイズ的には24インチでもまったく問題はありませんでした。

以前情報収集したところによると、大きいほう(24インチ)だと自分で漕ぐのがラクになるが、取り回しは小さいほう(22インチ)に劣るとのことでしたが、結局どちらでもいいという気分になりました(笑)。

なお、「半年か一年もすればタイヤはツルツルになってくるので、交換したほうがいいですよ~」とSさんはおっしゃっていました。
「そんなに使うこともないですから~」と言うと、「最初は皆さん、そうおっしゃるんですよ。(車椅子ができたら)ガンガン乗るようになりますよ!」
そうなるといいですね。楽しみです。
ちなみに、私の場合、消耗したタイヤの交換は修理対応で公費負担を申請できるとのことでした。


<前輪(キャスタホイール)>
デモ車には6インチのクッションキャスタが装着されていました。一見すると特徴のない外見ですが、最高の仕上がりと乗り心地を提供してくれるニッシン渾身の製品だそうです。

私のように主に屋外での使用を想定している場合は、前輪キャスタのサイズは6インチ以上が必須とのことでした。
また、段差を越える場合の高さの目安としては、「キャスタ直径の4分の一」よりもちょい低めまでが限界となるとおっしゃっていました。なので、単純に言えば大きければ大きいほど段差越えがラクになるわけです。
しかし、フットレストとの干渉の心配や後輪とのバランスもあるので、実際には7インチが最大となります。
「iS」の標準装備としては、4・5・6インチから選べるようになっています。

この標準仕様キャスタ+フォークでも十分な性能があるのですが、オプションとしてさらに快適なクッション性を提供してくれるキャスタフォーク(車輪をホールドするフレーム・クッション)が2種類あるとのこと。

そのひとつ、「ポルテ」というフォークは極上の乗り心地だそうですが、逆に柔らかすぎるという声もあるほど。もう少し硬めの設定が欲しいユーザーには、「スポーツポルテ」というフォークがお勧めだとのこと。ただ、お値段が少し張るのと、重量も重くなるようです。なお、「iS」用として用意されている「ポルテ」のサイズは5インチ、「スポーツポルテ」は4インチになります。

キャスタ絡みなのでここに書きますが、車椅子を自家用車の荷台に載せるときのコツもアドバイスしてもらいました。
電動車椅子は簡易型とはいえ自重が25~30kgほどあり、成人男性でも軽々とは運べません。
電動車椅子を自家用車に載せて移動先で使おうとする場合、車椅子の上げ下ろしが大きなネックになってきます。

そこで教えていただいた車載のコツ・・・。
荷台に載せるとき、車椅子を荷台に向けてから後ろに大きく倒すようにして、前輪キャスターを荷台に引っ掛け、テコの原理を応用して持ち上げるようにするといいですよと言われました。

実はこの方法は以前マイミクさんに教えてもらって、手持ちの手動式車椅子で試してみたことがあるのですが、うちの車(ステーションワゴン)の荷台が意外と高くてうまくいかなかった経験があります。でも、今回実演して見せてもらうと、うまくできているのです。サイズの違いかなぁと思ってよく見ていると、後輪の後ろについている転倒防止装置を利用して高さを稼いでいることが分かりました。

ただ、キャスタを荷台に当てて持ち上げるときに、キャスタがちょっとゴロゴロして安定させにくいので、少し慣れが必要です。
それと一瞬ですが、転倒防止装置の小さな車輪2つに車椅子の全自重がかかるので、大丈夫なのかなぁと心配になりました。まぁ、よく考えてみると、人間が乗車した状態で後方に転倒することを防止する装置なので、耐過重もかなりの重さがあるはず。だから大丈夫ですよね~。

約3.5kgあるリチウムイオン・バッテリと2kgほどあるフットレッグサポートを外してこの方法を利用すれば、車載するのにも大きな助けと思われます。心配していた問題が解消しそうでうれしくなりました。


<背もたれ>
介助用のグリップが標準装備で付いていて、背もたれも折りたたみ式になっています。
デモ車には、グリップの部分に介助用のコントローラが付いていましたが、これはオプションになります。

狭いスペースに車載する私にとって、背もたれ折りたたみ式は必須事項であり、先の判定でも処方に載せてもらっています。
「iS」は背もたれ折りたたみ式が標準仕様なのですが、バックサポートのフィット感やクッション性を損ねることもなく、上々の仕上がりとなっていました。


<サイドガード>
腰部の両側にある強化樹脂製のガードですが、後輪のカーブに合わせたデザインなので、特に目立つこともなく、また邪魔になることもありません。

オーエックスのYZ-EやGW-Eなどのデザインは直線的なカットになっているので、このあたりは好みの分かれるところでしょう。
色は黒一色で、サイドに「NISSIN」のロゴが地味に入っています(笑)。


<フレームカラー>
標準仕様は、「ブルー」と「レッド」の2種類ですが、オプションで20種類以上の中から選ぶこともできます。しかし、カラー変更だけで2~3万円アップします。
デモ車は「ブルー」でしたが、それでも十分きれいな色でした。

ちょっとインプレが長くなってしまいました。
以上、ヤマハの電動ユニット部分はさておき、ニッシンの「iS」フレームを中心に紹介いたしました。

次はいよいよ自分用の車椅子製作に向けての具体的な話に入ります

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